橋本 美貴恵 さん
本校を卒業後、附属鍼灸臨床実習センターで3年間研修を積む。その後、整形外科での勤務を経て、一般企業の訪問鍼灸施術事業の立ち上げにかかわる。2022年に自身の鍼灸院を開業。
“大切にされている”と患者さんに感じてもらえるよう
こころがけています
訪問施術の中心は自分で治療院に来ることができない身体の不自由な患者さんたちです。高齢の方が多く、肩凝り腰痛のほかにも不定愁訴がもりだくさんだったり、痛みや辛さをうまく 表現できない方も少なくありません。そこで施術にあたるのは自分一人。“これは病気に関する基礎知識がないと大変だ”と痛感し、改めて認知症や高齢者に対する鍼灸治療を学ぶために東京まで足を運びセミナーにも参加。Gold-QPD認定鍼灸師(認知症専門鍼灸師)の資格も取得しました。
患者さんは初めから心を開いてくれる方ばかりではありません。毎週ご自宅や施設に伺って一対一でじっくりと顔を合わせ、ようやく心を許してくれた!と感じたときのやりがいはひとしおです。難しさも含め訪問施術の面白さは意外と自分に合っているなぁと思うと同時に、その患者さんの生活を支えるご家族は主に女性であることが多くその大変さも伝わってきました。私も鍼灸師になってちょうど10年。これまでの経験を活かして訪問施術を続けながら、女性の身体と心の悩みに寄り添える自分の鍼灸院をつくろうと決意したのです。
2022年「1人ひとりにゆるりと寄り添う まちの治療院」をコンセプトに開業。ちょうどコロナ禍まっただなかで大々的なスタートとはいきませんでしたが、「じっくり、ゆっくり、丁寧に」を基本にしています。自分の鍼灸院でも出張施術でも心掛けているのは、患者さんに“自分が大切にされている”と感じてもらうこと。たとえ認知症を患っていても、ご本人は自分がどのように対応されているか理解しているのです。相手への敬意を忘れずお話をしっかり聞くことで良好な関係が築け、それが治療の効果につながると実感しています。